#20 お金の話は良くないのか

「駄目だからね。調査兵団なんてバカなマネ ー」(『進撃の巨人』諫山創 )

最近、SNSの日本語教師の投稿でよく見かけるのが、「今月は〇〇円稼いだ!」という内容。
正直、こういう投稿を見るのは気分は良くないし、私と同じ意見の人も多そうだ。
ただ裏を返せば、その投稿の多さは日本語教育業界の実情を反映しているのだとも言える。
もし、日本語教師の待遇がよければ、そんな投稿をしようと思う人はいないのだから。

私が日本語教師になったばかりのとき、地方都市の学校で、100分で3,600円だった。
授業は1日に100分×2、7200円を週3、+担任手当で、月収が12万円ぐらいだったかな?
妻も同じぐらいの収入だったから、当時でも、二人合わせてやっと一人分の給料。
しかも、夏休みとか長期休暇があると、非常勤にはコマ給が入らないという…。

こうやって改めて文字化すると、ちょっと正気とは思えない。
けれど、当時は、「自分は売れない芸人と同じ」と言い聞かせて頑張っていた。

じゃ、「週5働けばいいじゃない?」って、日本語教師の仕事を知らない人は言う。
無理無理。週3でも、当時の1年目は、冗談じゃなく、平日は1日3時間睡眠程度だった。
授業準備と調べ物に途方もなく時間がかかっていた。特に私はそういうタイプだった。
そんな働き方をする人も多かったと思う。倒れるまで仕事してやっと一人前になれる世界。

3年目ぐらいから、ようやく平日は1日4.5時間以上眠れるようになったと思う。
それでも、よく帰りの電車は居眠りをして駅を乗り過ごしたりとかしてたけど。
4年目に常勤講師になって、月収20万円ぐらいになったのかな。
常勤になると、学校での拘束時間の8時間は自分の授業準備なんてできはしない。
教務運営のための役割分担があるし、非常勤講師の方のフォローをしなければならない。
結局、自分の準備は家に帰ってから。やはり、平日の睡眠時間は4.5時間以上は増やせない。

そうこうしているうちに、体重がすごく増えてきて、健康診断でひっかかった。
原因と思われるのは、寝不足と運動不足に加え、食事でストレス発散していたからかも。
すぐにダイエット+運動習慣で、色々な数値が健康な状態まで戻った。
そして、その時に、いろいろと考えることも多くなり、海外で働くことに決めた。

話がいつの間にか「お金」からそれてしまったので、ここで話を戻す。
日本語教師一年目は、売れない芸人と同じという考え、これは明らかに間違った考えだ。
なぜなら、売れっ子芸人かどうかはわかりやすいからだ。人気、テレビの露出や年収額。
超一流アスリートも同じ。試合に出て勝って、ファンを得て、巨額の年俸を得る。

一方、日本語教師は、芸を磨いても、小さな披露の場と少数ファンとわずかな収入しかない。
あるのは、大学の先生や某団体の専門家など、それなりの収入が得られるポストに収まること。
収まったポストの肩書きがあれば、芸が拙くとも、それなりの収入と講釈を披露する場が得られる。

だから、「収入面では肩書きのある日本語専門家と同じ」と言いたくなる気持ちもわかる。
数字ってわかりやすい。わかりやすいことは大切なこと。けれど、忘れてはいけないことがある。
それは、超一流の人は、お金が欲しいという動機で超一流になったのではないということ。
お笑いの世界やスポーツの世界で上を目指した結果の評価が、収入額だとわかりやすいという話。

その一方で、もっと忘れてはいけないことがある。それは、「働きに見合う対価」という視点。
一コマ45分2000円は安すぎる。授業準備や事前事後処理のことを考えたら時給1000円以下。
専門職ですよ?誰にでもできるアルバイトじゃないんですよ?一体、どうなってるの?
我々は、帝国主義国家の支配下にある植民地で働く労働者じゃないんですよ?
そろそろ、我々も平和ボケからいい加減に目を覚まして、自立しなければならない。

そういった意味では、SNSで稼いだ金額を投稿する自慢からも、学びを得るところもあるだろう。




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