#35 報酬は妥当?

「知っておくべきだ。俺達は、何のために命を使うのかを。じゃねえと、いざという時に
迷っちまうよ。俺たちはエレンに、見返りを求めている。きっちり値踏みさせてくれよ。
自分の命に…見合うのかをな。」((『進撃の巨人』諫山創 )」
日本語学校ではなく、オンラインのプラットフォームで日本語を教えている人のSNS投稿には、
「〇〇円稼ぎました!」という先生方とそれに眉を顰める先生方、どちらも多く見られる。
私は正直、どちらの気持ちもわかる。ただ、その現状を悪用したコンサルは許せないけれど。
このブログを立ち上げた動機は、日本語教育業界の体質と低い報酬に疑問を抱いたから。
以前は、僕自身「やりがいさえあれば報酬にはあまり興味ない」という人間だったし、
おそらく、そんな人たちが業界には多い。そしてそれが、業界の悪しき体質の要因の一つ。
そのことをはっきりと自覚した。遅きに失した感はあるが、今から巻き返すつもり。
では、どのくらいの報酬であれば妥当なのだろう?
そこで、日本語教師が受け取るべき報酬というものについて僕なりに考えてみることにした。
思い出したのは、日本語教師になって一年以上たって、心に少し余裕ができた頃のこと。
「こんなに働いているのに、どうして我々夫婦の収入は低いんだろうね。
仮に一人だったとしたら、生活保護の人が受け取る額以下だよね、きっと。
二人で働いてやっと一人前の同世代の人が受け取る額って、ちょっとねえ…」
そして、初老に差し掛かった今、その現状はほとんど変わっていない。何なの?
もちろん、それなりに受け取る額は上がったが、同世代と比べるとやはり二人で一人前。
書いているとだんだん腹が立ってきたけど、ここは落ち着いて計算してみよう。
まず、労働を時間というもので考えてみる。現在の最低賃金が時給1000円から1200円。
最低賃金の定義を「特別なスキルがなくてもできる労働に対する対価」としてみる。
時給1100円とした場合、8時間労働で8800円。
教師の場合。私は授業というものは、1日に1.5時間を2回、計3時間で抑えるべきと考える。
なぜなら、3時間の授業をするには、計画・教材準備、事前事後処理で3時間かかるから。
残り2時間は勉強。上のような6時間だけやっていても、教師としての成長は見込めない。
つまり、非常勤の仕事は上記のような8時間労働を週5日継続するものと考える。
ここで、考えてみてほしい。1日3時間、つまり90分授業2回の報酬はいくらですか?
特別なスキルを必要としない仕事で受け取る8800円以上をその授業で得ていますか?
おそらく、多くの非常勤講師の皆さんの報酬は、それと変わらない額ではないですか?
おかしいですよね。養成講座を出て、試験にもパスした専門職なのに…。
では、時給1500円に設定してみましょう。授業3時間とそのための+3時間=計6時間
これで、6時間で9000千円だけど、ここには勉強代が含まれていない。
ただ、見積書に「勉強代」と書いても世間的には通らない。だけど、マスト項目。
ということで、時給は2000円に設定。時給1500円+研究費500円。全然おかしくない。
上記のような設定にすると1日12000円だけど、ここには熟練度が加味されていない。
つまり、経験豊富な教師とそうでない教師の差がまったくないことになる。
そこで、熟練度に応じて、掛けるべき係数を設定してみる。
例えば、12000円を標準として、見習い×0.8、エキスパート×1.5とする。(控え目)
このように考えると、仮に私が業務委託で授業を提供するとした場合の対価は以下。
| カテゴリ | 項目 | 単価 | 時間 | 計 |
|---|---|---|---|---|
| A1 | 授業実施費 | 2000円 | 3 | =6000円 |
| A2 | 授業計画・教材作成・事前事後処理費 | 2000円 | 3 | =6000円 |
| A1+A2 小計 | =12000円 | |||
| B | キャリア・スキル係数 | 1.5 | ||
| (A1+A2)×B 小計 | =18000円 | |||
| C | 出張費(近隣往復1時間以内) | 1000円 | 1 | =1000円 |
| (A1+A2)×B+C 小計 | =19000円 | |||
| 但し、交通費、材料費実費は別途請求 | ||||
どうでしょうか?もし、これが高額と感じたら、それはあなたが搾取されている証拠。
この見積額、世間一般の専門職が受け取る報酬から考えると、決して高くない、むしろ控え目。
日本語教育業界の常識からすると桁違いだが、それは、業界の相場が桁違いに低いから。
週5日3時間授業をして、月額報酬36万円。自分自身を値踏みしたときこれは妥当だと思う。
国際交流基金の専門家はこのぐらいの報酬、受け取ってますよ。それ以上かも。
うちの父の会社のベテランの職人さんは、これ以上確実に受け取ってますよ。
病院の外国人スタッフへの授業はこれ以下ですが、日本語学校に比べたら桁違いにいいですよ。
この業界の報酬が上に挙げた見積書以上の金額になることを願ってやまない。
だが、絶対に変わらないので、見切りをつけて、自分で何とかするしかない。
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ただし、オンラインプラットフォームを利用している場合は、話は変わってくるだろう。
教案と教材の提供と集客をしてくれていれば、A2カテ項目は受け取れないかもしれない。
だが、それならそれで、授業に時間が使えるだけのこと。準備の負担が減るだろうから。


