#39 進学指導は教師の仕事?

「貴様は何しにここに来た?」
「人類の勝利の役に立つためです!」
「それは素晴らしいな!貴様は巨人の餌になってもらおう!」(『進撃の巨人』諫山創 )

日本語学校の採用枠には、非常勤講師か常勤講師かという二つの採用枠がある。

非常勤の仕事は、基本的に授業だけ…と思いきや、授業記録や宿題やテストのチェックなど、
授業以外の仕事も結構ある。どこまでやることになっているかは、学校によって違う。
担任業務まで非常勤にお願いするところもあるだろう。もちろん、担任手当は出るだろうが。

常勤講師の仕事は、授業、担任業務、教務運営業務。これだけでも結構な仕事量だが、
それに加えて、大変な労力を強いられるのが、「進学指導」という業務だ。
「教師だったらすべきだよね?」と言われることもないまま、自然に課せられる業務である。

私の知っている範囲のほぼ全ての学校では、進学指導は常勤講師の当然の仕事とされている。
もちろん、卒業年次のクラスの担当者でない教師はそこから外れることができる。
新人教師には進学指導から外すという配慮もあるだろうが、翌年度は担当することになる。

なぜ?????????????

考えてみてください。なぜあなたは日本語教師になったのかを。理由はいろいろでしょうが、
「一人でも多くの外国人留学生を日本の大学に進学させるためです!」なんて人いますか?

進学指導をさせられているのは、はっきり言って、学校の都合ですよね?
「うちの日本語学校に来れば、いい大学や専門学校に入れて、いい仕事に就けますよ」
という謳い文句で学生を受け入れる。それは良い。そういうビジネスなのだから。
けれど、教師採用面接の際に、採用側から以下のような説明を受けた方、いますか?
「うちの日本語学校の理念は、外国人留学生を良い大学や専門学校に進学させることだ」と。

そもそも間違っているのが、日本語学校卒業後の進路を決めていない学生を受け入れること。
もちろん、受け入れ時の必要提出書類の中には、将来の進路に関する作文が添付されているが、
それが形式や建前だけのことも多く、実際には何も考えずに来日する学生が 少なくない。
そんな学生たちを連れてきた責任は学校にあるわけで、教師がその尻拭いをする必要はない。

もちろん、やりたいことや行きたい学部を決めている学生や日本に来てから頑張る人もいる。
そんな人が進学先を相談してきたり、志望理由書の日本語チェックを頼んできたりするのは、
「まあ、時間があれば見てあげようか…」という気にもなる。もちろん、こちらの善意で。
けれど、それ以上の感情は湧かないし、余っている以上の時間と労力を割く気にはなれない。
ましてや、目標のない学生、勉強しない学生がどうなろうと私の知ったことではない。

自分のそういう考え方は至極当然だと思うのだが、実際の日本語学校でそれは許されない。
なにしろ、学生がいいところへ進学することが、学校の評判につながるのだから。
それと同時に、卒業しても進学先が決まっていない学生は、時に逃亡することがある。
これは、日本語学校としてはならないことなので、何としても進学させなければならない。

以上のような責任重大な仕事が、どうして「教えるついでの仕事」扱いなのだろうか。
だけど、自分が教えているという責任感から、進路の面倒も見ざるを得なくなってしまう。
進学先を探し、願書を記入し、問い合わせ、志望理由書をチェックし、面接練習に付き合う。
そこまで散々付き合ってやった挙句、「やっぱり別の学校にする」という学生もいる。
その時間と労力✖️抱える学生の人数分行うのが、「教えるついでの仕事」と言えるだろうか。
「やりがい搾取」という言葉は業界でよく聞くけど、これは「人情搾取」に他ならない。

出来の悪い学生を何とか頑張らせて、いいところへ進学させたいという気持ちはわかる。
けれども、その気持ちと同じくらいの熱量を、学校の運営に対する抗議に使ってほしい。
もちろん、それをやってしまうと、最悪、首になってしまう。肩書きのない常勤講師は。
では、どうして教務主任にまでなった人は、進学指導を教務と分けようないのか。
たとえ、そういう考えを持つ先生が多くても、経営側がそれを受け入れないのか?

「日本語教師を取り巻く労働環境」という科目、登録日本語教員の学習科目にはない。
国が外国人からの留学生や労働者の受け入れを今後も推進するのであれば、
「文科省が日本語学校を取り仕切る!」と言うなら、こういう所にもメスを入れてほしい。
というより、これは労働基準監督署扱いの案件なのだろうか??


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