#30 政権の方針と日本語教育の今後

「壁の巨人は この島の外にあるすべての地表を踏み鳴らす
そこにある命を この世から駆逐するまで」(『進撃の巨人』諫山創 )
2026年2月8日、衆議院議員解散総選挙の結果は自民党の圧勝だった。
ところで、前年の参議院議員選挙のときも論点の一つだったのが、外国人政策。
排外主義ともとれる論調の政党が大きく議席をとったことにはとても驚いた。
それを受けたのか「外国人の受け入れを規制する」として票を得る作戦をとった各党。
まあ、もともと、高市さんは、いわゆるタカ派で、対外強硬姿勢の人だけど。
一方、「多文化共生社会を目指す」として外国人受入れ姿勢を見せた中道は惨敗。
政治的な主義主張をここでするつもりはない。言いたいことはいろいろあるけど。
だけど、日本語教育業界は政治的動向や経済動向に大きく左右される業界である。
今年1月「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」の政府決定など、
政治的動向にアンテナを張っていなければならない。
「外国人の受入れとそこに必要な日本語や社会規範の学習プログラムに国として取り組むべき」
なのはその通りだし、そういったことにお上が着手しはじめたことも喜ばしいことだと思う。
ただ、そういう議論をいろいろ重ねた結果できたのが「登録日本語教員」という国家資格。
あきれてものが言えない。ため息しか出ない。今後に何も期待できそうにない。
私が日本語教師になったのは、平成の日本語ブームと言われた時期だった。
インターネットの普及とともにグローバル化の波が押し寄せ、日本の国際化が叫ばれていた。
その反動からか、母国日本と母国語日本語に誇りを持とうという風潮が生まれた時期だった。
自国や自分について考える人が増えたからか、やりがいを求めて日本語教師になる人が増えた。
当然、業界は買い手市場、つまり、安い給料でいいから雇って欲しいという教師が多かった。
その結果、劣悪な労働環境で教師は疲弊し、そして、多くの教師がこの業界を去っていった。
それでも、しがみついて頑張ってきた方々も、いまやシニア世代。若手人材は育っていない。
当時からも将来の労働力不足は叫ばれていたから、日本語教師育成の必要性は明らかだった。
けれども、国は何の手も差し伸べずにここまできた。その結果が今の悲惨な現状。
学校は増えている一方で、教師不足が解消する見込みなし。で、トドメの「登録日本語教員」
もうシニア世代はみんなやめますよ。いいんですか?「地鳴らし」でもするつもり?
国の管轄下に置かれた日本語学校は今後どうなるのか?淘汰されるのか?それとも…
国が補助の手を差し伸べるとは考えにくい。規制強化という場当たり的な方法をとるだろう。
社会規範の学習プログラムを国が実施し、日本語学習の面を学校に委託して連携…ないない笑
「人を育てる」ということは長期的なビジョンを持って取り組むべきもの。
とりあえず目の前のお金ばかり追いかけるような余裕のない日本にそれができるとは思えない。


